はじめの一歩を踏み出そう 大阪でワークショップ企画 「第3回いとテラスcafé 様々な立場の懸け橋になるメディエーター(2025/3/20@ONtheUMEDA)レポート編」

目次

いとテラスcafé 今年度開幕!

いとテラスcaféは、私いとやんがご紹介したい毎回各分野でご活躍中だったり、興味がひかれる活動をされていたりする人物に光をあて、鋭く迫る至高の一時間です

イメージ的にはラジオ放送のように、暖かい飲み物を飲みながら。

また、ゲストの方に質問をするなど参加の仕方はなんでもOK!

人それぞれ感じ方は違うかと思いますが、あなたが初めの一歩を踏み出すきっかけになり、多様な人や分野とつながるお手伝いをする機会をワークショップを通じて創り出すことが、私にとってのミッションであると考えています。

おそらくONtheUMEDAの企画史上、ダントツの緩さと自由度でみなさんをお迎えいたします(周囲の人への迷惑や進行上の妨げにならなければなんでもOKです)

今回のゲストはフリーメディエーター 竹内陽子さん

(いとやん:以下いと)メディエーターという言葉はお聞きになったことはありますか?私はこの企画にあたるまで知りませんでした。メディエーターとは医療の現場に限らないんですよね?

(竹内陽子さん:以下竹内)ディエーションとは、対立する人と人とがメディエーターという中立な第三者を介して対話をすることで、お互いを理解しあい、一緒に問題を解決していく。そんな問題解決の方法です。たとえばあなたが仲の良いお友達グループのひとりから理由もわからないまま一方的に嫌われたらどうしますか。話し合う?無理ですよね。グループ抜ける?放置?それでは解決しませんね。そんなときに同じグループの友達が間に入って話を訊くと、自分の思いもよらないことで相手を傷つけていたことがわかったり、相手にとっても、自分の行動は悪気がなかったとがわかり怒りが収まったりします。このお友達のやったことがメディエーションなんですね。

(いと)つまり間に入って齟齬をなくすことによって解決する…と?

(竹内)関係がうまく行かなくなる時って、お互い相手の心の裏側が見えずに疑心暗鬼が膨らんでいる状態なんです。でも、対話をすることで案外あっさりとその疑心暗鬼は消えていきます。メディエーターはそのお手伝いをする役割です。日本ではあまり知られていませんが、欧米では裁判に変わる方法として一般的に使われています。いち早く日本にメディエーションを持ち込んだのは医療分野です。1990年代後半医療事故報道が頻発したけど当時はカルテ開示をする文化もなく、病院側はうまく対応できませんでした。そこで、医療者と患者さんの対話を促進する医療メディエーターの制度ができました。

(いと)医療メディエーションは医療側、患者側のどちらでも要請があれば行われる?

(竹内)最初は病院の総合窓口で患者側からの相談や医療者からの要請を受けて、対応していました。本来は中立であるべきですが、病院の職員ですので、病院の意向に逆らうこともできない。だから病院を離れフリーメディエーターとして活動をはじめました。それをするうちに、メディエーションがパートナーとの関係性や上司と部下の意思疎通がうまくいかないなど、どんな時でも必要であることに気付きました。

何がきっかけでメディエーターに?

(いと)竹内さんは医療の世界からメディエーターを始められた。では少しさかのぼってメディエーターの世界に入る最大のきっかけをきかせてもらえますか?

(竹内)私は普通のOLから専業主婦に。そこから新たな勉強を始め、訪問介護施設の責任者に。そこでは利用者さんと打ち合わせをし、ヘルパーさんにも伝達します。しかしヘルパーさんとの向き合い方に悩むこともあり医療福祉を学び始めました。そこの先生に「まず医療に入って勉強しなさい。」と言われたことがきっかけです。複数の病院で勤務し、医療メディエーターの資格も取りましたが、実際に医療メディエーションを担当できたのは、3つ目の病院で総合相談窓口を管理職として運営させて貰ってからです。

(いと)でも病院のなかということは病院側の人間ということですよね。やりにくくないですか?

(竹内)その病院は結構意見を取り入れてくれましたが、多くの病院では患者さんが一言でも「裁判」と口に出すと弁護士案件となり職員は口を出すなと。病院側の意向には逆らえない。また、メディエーターというのは毎日相談窓口に人が押し掛けるものでもない。だから他の仕事と兼任なので片手間になりがち。病院側はあまりメディエーターに真剣ではないのでフリーの立場として広域に動こうと思いました。

(いと)メディエーターの世界に入って動き出すきっかけになったエピソードってあります?

(竹内)ある日のこと、Mさんがくしゃくしゃの手紙を持って、私のいる相談窓口にきました。そこには「元気だったお母さんを返して」とありました。「泣いてきちんと話せないといけないので手紙にしました」と。それを目の前で読み上げられました。大腿骨の手術を受けるだけだったんですが、手術後吐き気を訴えられたんですね。Mさんのお母さんは看護師に「先生を呼んできて」と伝えたけれど吐き気止めが処方されただけで先生は顔も見せず、そのまま寝たきり。Mさんは病院の医療ミスを疑い、先生やその時の看護師と話がしたいと訴えましたが会わせてもらえません。そこで相談窓口に来られたんです。メディエーションに動こうとしましたがその手紙に「裁判」の一言が…。病院の上層部からは対応するなと言われたけれども、私は、「Mさんは裁判したいのではない」と思ったんです。手紙にはMさんのお嬢さんも、そんなお母さん(Mさんのことです)を支えるために進学をあきらめたともありました。私は「これは何とかしないと」と思い、その手紙やMさんの言葉を報告書にまとめて院内各部門の全責任者に送りました。そこで医療安全の部署の看護師さんが「対話が必要。先生がしないのなら私が」と手を挙げてくれました。けれども、対話は実現しましたがお互いの話は平行線なままでした。病院側の立場であるその看護師さんは「病院に落ち度はなかった」という言葉を繰り返さざるをえなかったからです。看護師さんが出ていき部屋に一人残されたMさんは茫然とし、「本当に医療事故ではないのか」と私に尋ねました。私は「専門的なことはお話しできないけれども、あの看護師さんが上層部を説得したから対話が実現したんです。彼女は『Mさん親子がこれからの人生を自分のために生きられるようになってほしい。そのために話をするんだ』…、そう言っていましたよ。」と伝えました。Mさんは「病院の中でも向き合ってくれる人はいるんですね。」と最終的にはハグをして別れました。その後の経過はわかりませんが、裁判がされていないということが全てではないでしょうか。メディエーションは本当に大切だと痛感したできごとでした。

(いと)それは何年前ぐらいの話です?

(竹内)うーん、10年ほど前ですかね。

(いと)世間的に病院ではメディエーションはさかんではなかった?

(竹内)医療メディエーターは中規模以上の病院になると置かれていているところが多いです。その費用も診療報酬の加算として請求されているんですよ。でも積極的に活用しようとはしないところが多いです。メディエーターが話を聴くけど、結局病院側の代弁者になってしまう。中立の立場であるはずなのに…それが病院を離れフリーになったきっかけです。

(いと)メディエーターが広まっていないなら医療だけではなく、竹内さんがメディエーター協会を作ってまとめていくしかないのでは。いくら竹内さんでも一人で日本全国というわけにはいかないでしょうし…。

(竹内)やりますよ。自慢じゃないけど私の担当でこじれたことはないですから(笑)

第1回いとテラスCaféゲスト リントレーコーポレーション金馬社長が急遽登壇!社内メディエーションを語る

(竹内)先ほども触れたように医療関係だけでなく、様々な場でメディエーションをしています。先日は金馬さんの依頼でリントレーコーポレーションさんに行ってきましたよ。

(いと)どんなことがきっかけでメディエーションが始まったんです?せっかくなのでご本人にお話を伺いましょう。

(金馬亮仁さん:以下金馬)私は2代目社長で入社したんですが、私よりも年上で気になる社員がいたんです。けっしてさぼってはいないんだけれども、私から見ると矛盾だらけの仕事ぶりでモヤモヤ、イライラしていました。そこでメディエーターをしている竹内さんに「なんとかならんか?」と尋ねると、「それもメディエーションの出番やん」と快くとりかかっていただきました。

(竹内)みなさんに前向きに取り組んでいただきました。お互いの話を聴くと、その社員さんには全く悪気がなかったことがわかり、金馬社長に伝えましたところ「どう動いたらええんやろう?」と仰るんですね。

(金馬)真面目にはやっているんだろうけど、表面上だけ見るとふざけているのかそうでないのかまったくわからなくて…間に入ってもらった結果、本人は真剣にやろうとしていたことに気付き、「オレが間違っていた。捉え間違っていた」と。むこうも「動き方変えるわ」と約束してくれここから事態が動き出しました。間に入ってもらったことで「社長もまじめにやってんねや」ということが伝わり、お互いが素直に動けるようになりました。

(竹内)今までそれが解決せずにミスやクレームが頻発していたそうです。疑心暗鬼がお互いにあっても、相手の心が見やすいように明かりを照らすとふっと消えていくものなんです。それが私の役割です。

もっと身近なメディエーション

(いと)金馬さん、ありがとうございました。さっき疑心暗鬼という言葉が出てきましたが、私が実践している心理学は自分自身の物の感じ方や考え方を明らかにしていくものです。ただクライアントでもない相手に働き掛けたり、ましてや相手の考えを変えたりするものではないんですね。メディエーションはここに働き掛ける。でも、間に入るとはいっても当事者が不快だと思っていても、何が不快なのかわからないこともあるかと思います。メディエーションを行う前にお話をカウンセリングなどで聴き取り、成果な情報をメディエーターに伝えるとより正確に適切に動けるんじゃないでしょうか?良かったらコラボしませんか(笑)

(竹内)ぜひぜひ(笑)メディエーションはどんなシーンでも使えますよ。利害関係のない人が間に入ってうまく伝えられればね。

(いと)ではもっと身近な例でメディエーションを入れた事例ってありますか?

(竹内)義姉妹間のケースもありました。義姉からずっと距離を取られているように感じ、嫌われているのかなと妹は思っていました。そのまま月日が過ぎて親の介護が必要になりました。兄は単身赴任で近くにはおらず、義姉に助けてほしいが言葉もかけられず一人でモヤモヤとしていたそうです。そこで私に依頼が来て、お義姉さんに話を聴いたところ、避けているつもりはなかった。当時は女性が仕事に生きるのは周囲の理解も少なくとにかく必死だった。むしろ義妹から話しかかられることが嬉しかったと。でも義妹の態度が硬くなっていたのは気になったけれども、仕事に追われそのままにしてしまったと。義妹から嫌われていると思っていたので、いざ介護…となっても自分がしゃしゃり出るのも…とは思い声をかけられなかった。お義母さんの介護は私もしたい。今回、メディエーションをすることでお互いに嫌い合っていたわけではないと知って介護の役割分担だけでなく、いろんなことを相談しあえるようになったそうです。

(いと)巷では仮面夫婦も少なくないといいますからねえ…

(竹内)知らないうちに話しかけることへのハードルを高くしていることも。それこそ疑心暗鬼の為せる業…。自分から進んで動くのはしんどいけれども、第三者が横からちょんちょんと突き動かすだけで確実に事態は変わるんです。

メディエーションが描く未来

(いと)では、メディエーターとして今後、どんな活動をしていきたいですか?

(竹内)実はいろんな人にメディエーションをしてほしいです。ヨーロッパは決闘で物事を決める文化であり、裁判にもつながる概念です。一方で日本は「話せばわかる」の仲裁が入る文化。仲裁者に聞いてもらいながら、お互いの言葉の端々から「そう思ってたんや」というのが伝わり、知らんうちに仲直り。これって完全にメディエーターの役割。今は「要らんお節介を…」と捉えられて随分やりにくくなったけれども、元来日本では日常的な行動なんです。メディエーションが普及して対話が復活するとみんなが生きやすくなると思いませんか。だからこそ、これからもメディエーターを広めていきたいのです。

(いと)あっという間にお時間となりました。本日はありがとうございました。

編集後記

いとテラスcaféでは今社会で関心が強まり、注目されているテーマを巡ってたくさんの方からお話を聴いていきます。

竹内さんのメディエーターにかける熱意と挑戦が会場にいる方にも伝わりその後活発な質疑応答が行われ、ここで新たな得られた学びも少なくありませんでした。

事前の打ち合わせをした際に私の拙い解釈に対し、「そのことば(内容)は意味が違います」と言葉に正確であろうという意識がとても強い方なんだと思いましたが、言葉を使って双方の関係者の間に入っていくのだから寸分の狂いも許されないんだと気付かされました(自分自身はもっと細かいところまで意識しないとと猛反省…)

医療にかかわらないフリーメディエーターを名乗っているのは竹内さんお一人かもしれないし、もしかしたらこの道の第一人者かもしれません。

しかし、いくら能力や気合に満ち溢れた竹内さんであってもやはり一人では何もできません。

いたるところで責任を追及し閉塞感の漂う昨今だからこそ、まずはメディエーターを広く知ってもらうことが一番ですね。

なお5月に竹内さんが『あなたの悩みを「対話」で解決! ハートフルメディエーションが創る新しい和解のかたち』(仮題)が出版されるとのことです。印刷されたもの、電子書籍の両方があるそうです。

また出版にあたりクラウドファンディングも行うことでメディエーションを広め、仲間を集めたいとのことです。

https://camp-fire.jp/projects/830932/preview?token=2rqv3xsn&utm_campaign=cp_po_share_c_msg_projects_show

個人的には何らかのお仕事でコラボできればいいなと思っています。

日本のメディエーションを創り出す竹内陽子さんの今後のご活躍に注目です!

◎竹内陽子さんの活動を詳しく知りたい人は以下のリンク先からGO!◎

燈芯草~とうしんそう~ - 病院・...
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《参加者様からのご感想》

・医療面以外からのメディエーションの世界が知れて有意義だった

・間に入って丁寧に聞き取れる竹内さんの技術がすごい。なぜメディエーションに携わった人がためらいなく話ができるのか気になります

・心理学とメディエーションの違いが知れたことは大きい

など、貴重なご感想をお寄せいただきました。

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この記事を書いた人

教育業界に20年以上携わってきましたが、気づかぬうちににストレスで潰されそうに。そんな時に偶然に出会ったNLP心理学によって物事の捉え方が大きく変わりました。一歩前に進めるスイッチの押し方により人生が音を立てて動き出す。そんな実感を一人でも多くの方と共有していきたいと思います。

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