■ いとやん、かつての黒歴史を大いに語る
あれは、いとやんが20代のころ。
ある講義を任されて、めちゃくちゃ気合いが入っていた。
・板書で何を書くか
・どのタイミングで、何を話すか
・どんな言葉を使うか
――すべて、ノートにびっしり。
ページ数だけは立派。内容も「正しい」。
もうね、準備の量だけならこの道数十年の教授クラス(笑)
そして迎えた本番。
最初はうなずいてくれる人もいた。
反応も悪くないし、質問も少し出た。
「あ、これは流れ変えたほうがいいな」と内心思った。
……のに。
「いや、でも次はこの話をする予定やし」
「ここ、書いたから言わなあかんし」
そうやって“元の台本”に戻そうとした瞬間から、独り相撲が始まった。
参加者の表情?
……見えてない。
というか、見ないようにしてた(笑)
結果どうなったか。
言うべきことは全部言った。
時間もきっちり守った。
内容も、たぶん間違ってないし問題は発生していないはず。
でも──
聞いている人の心は、さざなみ一つ立っていなかった。
今ならわかる。
あれは講義じゃなくて、たんなる「台本の朗読会」やったなあって。
■変えたのは、準備の“量”じゃなく“持ち方
それからいろいろ試行錯誤して、あるとき思い切って、準備の仕方を変えた。
やったことは、めちゃくちゃシンプル。
原稿は作る。
でも、本番では全部持ち込まない。
代わりにやったのが、「最も大切なフレーズだけにアンダーラインを引く」 こと。
・ここは絶対伝えたい
・ここで空気を感じたい
・ここは相手の反応で膨らませたい
そんな言葉に、線を引くだけ。
流れは頭にある。
でも、言い回しは決めない。
すると何が起きたか。
■Before / After で見る、プレゼンの変化
【Before:ノートびっしり時代】
・オーディエンスの反応が気になっても軌道修正できない
・「戻さなきゃ」という焦りで頭がいっぱい
・終わったあと、どっと疲れる
・「ちゃんとやったはずやのに…」という虚しさ
【After:アンダーライン方式】
・相手の反応に合わせて話の順番を変えられる
・うなずきや笑いに“乗って”話せる
・その場で生まれる言葉が増える
・終わったあと、なぜか充実感が残る
一番大きかった違いはこれ、「一人でやっている感じ」が消えた。
プレゼンが、“自分が話す場”から“オーディエンスと一緒に作る場”に変わった。

■ プレゼンが楽になる最大の理由
心理学的に言えば、これは「コントロール」を手放した分、関係性に意識を向けられるようになった状態。
人は、正確さを保とうとすると緊張し、つながろうとすると安心する。
安心すると、言葉も、表情も、声のトーンも自然に相手に届くようになる。
■ 本日のまとめでーす!
プレゼンを話しやすくするコツは、完璧な台本を持つことじゃない。
大切なのは、
・これだけは伝えたい言葉
・相手の反応を見る余白
・一緒に場を作る姿勢
そのための道具が、「アンダーライン」やったんやなと、今は思う。
次に話すときは、ノートを増やす前に線を引いてみて。
きっと、話す自分も、聞く相手も、今までよりずっとラクになるから。
だからこそ、ここまで読んでくださっているあなたへ── はじめの一歩を踏み出そう。
