『図解 眠れなくなるほど面白い 日本史』著者 鈴木旭
同じものを見ても味方や立場によって全く違うものになる。これは心理学でも良く使われるテーマですが、歴史の世界でも同じ。今日はそんな事に気付いた読書記録です。
久々の歴史物です。感想としては人を選ぶ本かもしれない。先に気になった点をあげておくと、丁寧に時代の流れを追っているわけではないので、歴史初心者や苦手意識を持っている人は入り込みにくいかも。あと、「承久の乱が1227年」と掲載されています。いろんな歴史解釈があるでしょうし、単なる間違いだと思いますが残念なところ。あと、現代史になると筆者の歴史的主張が濃くなります。「自虐史観とはそろそろ決別しないといけない」などが代表的でしょう。著書なので主張を書くことは正しいですが、「では、みなさんはどう考えますか?」のような切り口だと様々な立場の人にももっと受け入れられやすいだろうに…とは思いました。
さて、ここからはオススメポイントをあげていきます!まずは一つの内容で見開き1ページになっており、色やイラストもついていて見やすいです。簡略にまとめてもいるので、歴史が好きな方ならばすーっと読めるでしょう。個人的には古代史の記事に関心を持ちました。特に弥生初期の内容について丁寧に書いているのはあまり見かけないので、好感を持ちました。特に当時の東日本は米作りも伝来していない未開の土地…というイメージが多かれ少なかれありませんか?冷涼な気候で細々と暮らしていたわけではなく、稲作をしなくても肥沃な黒土がひろがり豊かな自然の恵みが得られていたようです。縄文文化は駆逐されたのではなく、海外から入ってきた弥生文化とうまくヒュージョンし、新しい日本文化が形作られたというのはなんとも新鮮…。
この本はおそらく人によって評価が分かれやすいです。ためしに初めの方と終わりの方をいくつか見ていただき、自分に合いそうだと思えば入手する価値は十分にあるだろう。そんな本でした。