いろんな役を演じながら生きる
人はよく「自分らしく生きる」と言う。
でも社会の中では、人は一つの役だけでは生きていない。
ある時は調整役。
ある時は聞き役。
場の緊張をやわらげる緩衝役になることもある。
そして必要な時にはリーダーとして方向を示すこともある。
笑いに秘めた力
私の場合、その役割の変化は人より少し大きいかもしれない。
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で登場する別冊サファイアの編集者、竜千士氷がイメージとしては近い…のかもしれない。
担当漫画家のキャラに合わせて服装や見た目などを変幻自在に変えるなど、その役になりきっているのが印象的でした(一度ググってみてください)
ただ、どんな役になってもひそかに意識していることがある。
それは場の緊張を、少し笑いに変えること。
もちろんメリハリは大切だね。
たしかに真剣に議論する場も必要だし、意見をぶつけ合う時間も必要であることに間違いない。
それでも私は普段から職場や現場であれプライベートであれ、周囲がふっと笑いが漏れる場所であってほしいと思っている。
人は、身の安全が保障されず、緊張していると本当の意見を言いにくくなるんじゃないかな。
でも、少し空気がやわらぐと自然と心も開いていく。
だからこそ私は、自分自身ができるだけリラックスして笑顔でいることを心がけているんだ。
誰でもがいるだけで及ぼす大きな影響
心理学の世界では人の「状態」が周囲に影響を与えると言われている。
NLP(神経言語プログラミング)では人は無意識のうちに、相手の雰囲気や感情に同調すると考えられている。
つまり自分がリラックスしているとその空気は周囲にも広がるということ。
逆に言えば、たった一人の緊張が場全体の緊張を作ることも十分ありうる。
だから私は、ガチガチにガードを固めず(街でも何か気に入らないことがあればもめてやろうという人、いますね…)、あえて少しいじられやすい雰囲気を作ることもある。
なぜなら人は、近寄りやすい人には自然と心を開くからだ。
近づきやすい話しやすい空間は精神的にも効率的にもプラスしかない。
もちろんそれが行き過ぎると「自信がないのでは」、「日和っているのでは」と思われ、いわゆるなめられるおそれもあるだろう。
でも私は基本的にそれでもいいかなと思っている。
大事なのは自分の軸を持っていることだからだ。
必要な時に「これはこうだ」と言えたり示せたりする人は、普段いじられていても不思議と一目置かれるものだから。
異常な行動を起こす役割
昔、午前中から始まり昼すぎになっても終わりが見えないある会議で、議論が完全にこじれたことがあった。
お互いを批判し合い、怒鳴り声も飛び交う。
机をたたきながらわめいており、司会も手をこまねいている。
「冷静に議論しましょう」と誰かが言えば、確実に火に油を注ぎかねない空気だった。
当時は若手の自分が何かを言って収まる状況ではないのはわかっていた。
そこで私はトイレに行くかのようにふらりと会議室を出た。
そしてマクドナルドでビッグマックを買ってきた。
会議室に戻りやんややんや言い合う人たちを横目に、私は黙ってビッグマックをむしゃむしゃと食べ始めた。
会議終了後に当然ながら苦言はたっぷり呈されたさ(大笑)
国会じゃないけれども、品位を貶める行為であることに間違いはないからね。
でも不思議なことに、わめきあう横から新幹線内で食すのに賛否が分かれるビッグマックの匂いが漂った瞬間から、批判合戦は突然終わることとなった。

影響力とはその場の空気を操る力
NLPでは何かしらのテクニックを行う際にアイスブレイクで全く関係ない雑談を入れることも多いんだけれども、これは人の思考や感情の流れを一度リセットするために行うことがあるんだね。
こういった行動を「パターンブレイク」と呼ぶ。
人は、予想外の出来事に出会うとそれまでの感情の流れが一瞬止まるようだ。
私がやったことはそんな大げさなものではない(一介の社員としてはかなりヤバいヤツ認定は受ける)けれど、結果として確実に場の空気は変わった。
当時から私の中には一つの考えがあって、それは…、
会議は、参加者から提供された貴重な時間をいただいて行うもの。
もし感情的な言い合いで本題から逸れていくなら、まともに取り合う必要はない。
空気を少し変えるだけで人は冷静さを取り戻すことがある。
そして私は自分のことをときどきこう感じる。
関係性の演出家なのかもしれないなあ…と。
間違いなく主役キャラやメインの役ではない。
ワンシーンしか出てこなかったり、癖の強い役柄の方が多かったりするかもしれない。
でも舞台の空気が少し良くなるように…。
ときどきそんな工夫を時には無意識にこなしているのに、後になって気付くことも。
もしあなたの周りの空気が少し固いと感じたら、まずは自分がゆったりと腹式呼吸を行いつつ、少しだけ笑顔になってみるのも、ひとつの方法かもしれないよ。
