はじめの一歩を踏み出そう 第106回 この人、話はうまいのに、なぜか心が動かない~自分に向いたベクトルを、少しだけ相手にも向けてみる~

めちゃくちゃ話がうまい。

プレゼン資料もきれい。
説明も論理的。
声もよく通る。

なのに……なぜか、心が1ミクロンも動かない。

そんな経験、ありませんか?

反対に、話し方はそれほど上手ではないのに、「この人、ちゃんと自分のことを見てくれているな」と感じる人もいます。

この違いって、何なのでしょう。

私は、その一つに、性格や話術だけではなく、「ベクトルがどこを向いているか」も関係しているのではないかと思っています。

目次

「自分軸」と「自分だけ」は違う

自分にベクトルが向きがちな人には、大きく2つのタイプがいる。

一つは、単純に自分の世界に没頭していたり、意図的に他人と距離を取っているタイプ。

悪気があるわけではなく、そういう性質だというだけの話なんですね。

もう一つは、堂々と意見を述べ、SNSでも精力的に発信しているのに、他人の意見や発信にはまるで興味がなく、一方通行になっているタイプ。

例えばSNSで、自分の考えを精力的に発信している人がいる。

堂々と意見を述べるし、自分の活動も積極的に紹介する。

でも、他人の発信にはほとんど関心を示さない。

もちろん、単純に自分の世界に集中している人もいるでしょう。

しかし、「自分が何を得られるか」「自分がどう評価されるか」ばかりに意識が向いている場合もあります。

営業電話などでも、「今、こういうサービスがありまして……」と、こちらの状況をほとんど確認しないまま話が続くことがあります。

聞いている側からすると、「そもそもあなたは、私に興味あるん?」となってしまう(笑)。

「自分軸で生きる」という言葉があります。

周囲の評価に振り回されず、自分の価値観で選択する。

これは、とても大切なことだと思います。

ただし、自分軸を持つことと、自分のことしか見ないことは同じではないんです。

自分の軸を持つことはもちろん大切。

でも、そこから一歩進んで、「あなたはどう思いますか?」と相手に関心を持って見ることも大切なのではないでしょうか。

他人に関心を持つ人がやっていること ~NLPの「ポジションチェンジ」と「ラポール」~

NLPの「パーセプチュアルポジション(知覚位置)」という考え方があります。
自分の立場だけでなく、相手の立場、さらに第三者の立場から同じ出来事を見てみる。
いわば、自分から相手へ視点を移動させる『ポジションチェンジ』です。相手がどう感じ、何を見て、何を求めているかを、一度自分の立場を離れて想像してみる。

この視点の移動ができるかどうかが、会話の質を大きく左右するのですね。

簡単に言えば、自分の立場だけで物事を見るのではなく、「相手の立場から見たら、どう見えるだろう?」と視点を変えてみることです。

例えばプレゼンなら、「自分はこれを伝えたい」だけではなく、「聞いている人は、今どんなことを知りたいのだろう?」と考えてみる。

すると、話す内容や順番が変わってくるかもしれないよ。

そして、相手との信頼関係をつくっていく考え方として、NLPではラポール形成という言葉も使われます。

ラポールは技術というより、「この人は自分を理解しようとしてくれている」という相手の実感の積み重ねから生まれるものなんですね。

相手の話を聞く。

表情やしぐさを見る。

相手がどんなことに関心を持っているのかを知る。

そして、必要なら質問する。

「この人のことを、もう少し知りたい」という気持ちがあるからこそ、こうした行動が自然に出てくるのではないでしょうか。

もちろん、相手に合わせ続ければいいという話ではありません。

何でも「そうですね」と同調するだけでは、相手はむしろ本音を話しにくくなってしまう。

大切なのは、相手を理解しようとする姿勢であって、自分を消すことではないんですよ。

自分の軸を持ちながら、相手の世界にも入ってみる。

私は、この往復がコミュニケーションには必要なのだと思っています。

相手の人生の一部になれるか

人との関係を考えるとき、「ベクトル」という言葉がしっくりきます。

自分のやりたいことがある。

それはいい。

でも、目の前にいる人と一緒に何かをするなら、

「この人の得意なことは何だろう?」

「この人から学べることは何だろう?」

「一緒にやるなら、どんな形がいいだろう?」と考えてみる。

そして、自分にできることで相手の役に立てそうなことがあれば、それを伝える。

すると、自分 → 相手 → 自分 → 相手

このように、ベクトルが行ったり来たりするようになります。

最初は「この人と何かできないかな?」と思っていただけなのに、気がつけば、

「この人の人生の中に、自分という人間が少し存在している」

そんな関係になっているかもしれません。

これは、単に人脈を増やすという話ではありません。

相手に興味を持ち、相手を知り、自分のことも知ってもらう。

つまり、相手への関心をうまく言葉や行動で伝えて、「この人と話していると、自分にとっても何か意味がある」と感じてもらえる関係をつくれるかどうか。

その積み重ねの先に、信頼や協力関係が生まれていく。

だからこそ、「自分を大切にする」と「自分だけを見る」は違う。

そして、「相手を大切にする」と「相手に合わせる」も違う。

自分の軸を持ったまま、ほんの少しだけベクトルを相手にも向けてみる。

それもまた、人との新しい関係をつくるための「はじめの一歩」なのかもしれませんよ。

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この記事を書いた人

教育業界に20年以上携わってきましたが、気づかぬうちににストレスで潰されそうに。そんな時に偶然に出会ったNLP心理学によって物事の捉え方が大きく変わりました。一歩前に進めるスイッチの押し方により人生が音を立てて動き出す。そんな実感を一人でも多くの方と共有していきたいと思います。

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