1. 物事の見方は大きく2つある
人が物事を見るとき、その見方は大きく2つに分けられる。
ひとつは、出来事の中に入り込んで感じる状態。
例えば、目の前に大勢の人がいて、緊張で手が震えるような感覚。
これはまさに“その場にいる自分”として体験している状態だ。
もうひとつは、少し離れたところから自分を見ている状態。
まるで2階から眺めるように、「自分、今めっちゃ緊張してるな」と冷静に見ている感覚。
NLPでは前者をアソシエイト(入り込む)、後者をディソシエイト(距離をとる)と呼ぶ。

2. スピーチで失敗した体験
この違いを実感した出来事がある。
スピーチを学び始めた頃、「楽しい話をしよう」と思ってこんな話をした。
幼稚園の頃、父と清荒神に参拝した帰り道、急な坂で前の車にぶつかってしまった。
すると、反社を思わせるかのようないかつい大人が出てきてある建物まで連れ去られ…
父が連れていかれるのを見て、「もう二度と会えないかもしれない」
そんな恐怖で泣きわめいた——
実はいかつい二人は警察官だったというオチだけれども、ジェスチャーも織り交ぜて、かなり感情を込めて話した。
3. しかし結果は…
返ってきた感想はこうだった。
- 「落語みたいで楽しそう」
- 「でも、何が面白いのか分からなかった」
- 「話が頭に入ってこなかった」
正直、かなりショックだった。
そして敗北感と“恥ずかしさ”だけが残った。
4. なぜ伝わらなかったのか?
今ならはっきり分かる。
自分が“入り込みすぎていた”からだ。
つまり、完全にアソシエイト状態だった。
自分の中では臨場感たっぷりでも、聞いている側は前提を共有していない。
その結果、
- 状況がわからない
- イメージできない
- 感情についていけない
という状態が起きていた。
5. 少し“離れて”語るという選択
そこで、同じ話をこう組み直してみた。
時代背景や場所、状況を少しずつ説明しながら、当時の自分の勘違いや恐怖を“解説するように”語る。
するとどうなるか…。
聞き手は、
- 状況を理解できる
- イメージが浮かぶ
- 感情に入りやすくなる
つまり、聞き手がアソシエイトできる状態が生まれる。
6. 人は「わからない」を埋めようとする
人は、わからない部分があると無意識にそれを埋めようとする。
でもその“穴”が多すぎると、話を楽しむどころか、理解することにエネルギーを使ってしまう。
これが、最初のスピーチで起きていたことであるにちがいない。
7. 伝えるためのコツはシンプル
もしあなたが、自分のことをよく知らない相手に話すなら——
「少し離れたところから説明する」
くらいがちょうどいい。
感覚としては、
・主人公として語るのではなく
・ “解説者”として語る
このバランスが大事になる。
8. まとめ
感情を乗せて話すと、自分視点に偏りやすい。
自分の中では臨場感があり楽しいが、それだけでは相手に同じ景色が広がるとは限らない。
背景や状況が不足していると、聞き手は意味を自分で埋めながら聴くことになり、
話に集中しづらくなる。
だからこそ、少し距離を取り、第三者のように解説する視点を持つこと。
そうすることで、相手は無理なく内容を受け取れ、伝えたいことが自然と届いていく。
伝え方を少し意識するだけで、見える世界も、伝わる世界も変わっていくはずだよ。
